「あら、もしかして夜遅くに大声出しちゃったから陽向くん怒らせちゃったのかしら?」
「うーん…でも一ノ瀬先輩の話題で話してるのはいつもだよ?」
「陽向くん眠れないって言ってたからね。
そうね、謝るついでにこのホットミルクも一緒に渡して来てくれる?」
お母さんは他にもやることあるからと言ってリビングから出て行ってしまった。
「騒いでたのは一人じゃないのに……」
あたしはお母さんがいなくなった後、小さな声で呟いた。
テーブルに置かれた1つのマグカップ。
それを見て思わずため息まで出る。
正直行きたくない。怒ってるから今度は何言われるか分からないし。
相ケ瀬くんの部屋行って、『ごめん!』って言ってホットミルク置いて自分の部屋に閉じこもろう。
あたしはそう決めると彼の部屋に足を向けた。

