家に帰ると、いつものようにすぐに借りてきたサッカーボールを持って庭に出た。
「よしっ!目指せ7回!」
―ボンッボンッボンッ
あたしがサッカーボールを上に蹴るたびに音が鳴る。
でも3回くらい蹴るとどうしてもボールが飛んで行ってしまう。
サッカー経験なんて全然ないのにこんなにサッカーにハマるなんて思いもしなかった。
これも全部一ノ瀬先輩のおかげだ。
無我夢中でボールを蹴って、蹴って、飛んで行ってはまた拾って蹴って。
気付くととっくに空は真っ暗になっていて、街灯の明るさで今が何時か気になった。
―ガンッ
いきなり勢いよく窓が開いて反対側の窓にぶつかる音がして、あたしはその音の先を見た。

