「悪かったな。立花だったら呼んでもいいって言おうと思ったのに」
「えっちょっと!本当に?」
「本当だったけど、やっぱりだめ。俺も立花のこと今までどおり苗字で呼ぶから」
「ごめんね?」
「今更謝ったって無駄」
相ケ瀬くんはあたしが最後の一口を食べるとすぐに立ち上がった。
そしてプラネタリウムで出してもらったからと言ってお金を出してくれた。
その後、相ケ瀬くんは本当に拗ねちゃったようで、いくら腕をぎゅっと掴んで謝って粘ってみても折れてくれることはなかった。
でも……家に着く直前にこう言ってくれたんだ。
“最近、サッカーにしか目が向けられないほど余裕がなかったことに気づけた”
あたしは心の中でガッツポーズ。作戦は大成功だ。
最後の一回と決めて、あたしはもう一度聞いてみた。
「良かった。ね、そしたら陽向って呼んでもいい?」
「それとこれは別」
バサっと結局振られてしまい呼ばせてもらえなかった。
相ケ瀬くんの頑固。と思いながらもいつか機会を見つけて呼んでみようって思ったんだ。