話を止めて、すぐに一ノ瀬先輩の集まるみんなに、あたしはその後ろに下がった。
一ノ瀬先輩の隣には七瀬先輩がいて、みんなは彼らと向き合う形になった。
「冬の大会のトーナメント表が出た。この間、試合で負けた青山第一には決勝で当たることになった」
その言葉を聞いて嬉しそうな、ホッとしたような声が聞こえたけど、一ノ瀬先輩は一瞬でそれを制した。
「今、安心したヤツ、もう一度考え直せよ。
俺たち3年はこの大会でひとつでも試合に引退だ、高校で二度とサッカーができなくなる。
先の試合しか見てなかったら、いつか絶対に足をすくわれる」
「俺たちの目指す先は県で1番を掴むこと。試合はもう来月の中旬、つまりお盆から始まる。
だからって堅くなる必要はない。俺たちは俺たちのプレーを相手にぶつけて一つずつ勝っていけばいい」
一ノ瀬先輩は最後に「もう少し試合を意識してプレーをしよう。自分のプレーをもう一度見直して、残り3週間で万全にしよう」
とチームの覇気を取り戻すためにそう言ったんだ。