間宮先生は腕を組んで、相ケ瀬くんを目で追いながら嬉しそうな顔をしている。



「だいたいの1年はあんな先輩たちだけの中に放り込まれたり、プレーが堅くなったり



自分のところにボールが回ってきても遠慮して、上のヤツに任せて自分は走ってるだけってのが多い。



だけど、アイツの頭は今どうにかしてレギュラーになろうってことしか頭に入ってない。



まー、サッカーをするためにここに来たんだから当たり前だけど」



先生は一度軽くピッとホイッスルを吹くと、「ラスト―!」と指示を出していた。



そして休憩になると、あたしは両手にいっぱい青いドリンクボトルを抱えて急いでみんなに配った。



「疲れたー!」「あっちー」という声があちらこちらから聞こえる中、一ノ瀬先輩は「休憩中だが、ちょっと静かにして聞いてくれ」と言って声を掛けていた。