彼はピッチのラインぎりぎりに立つと、その場で足首を回したり、ジャンプしたりしながらボールが外に出るのを今か今かと待ち構えていた。



そしてシュートを放ったボールがゴールに反れてピッチから出て行った瞬間、相ケ瀬くんは原田先輩のもとに駆けて行った。




「あっ……」



ピッチの中を走り出した相ケ瀬くんの目が一気に変わったように見えた。



周りは大半が2年生と3年生なのに、その中で遠慮することなく堂々とやっている。



「本当に相ケ瀬ってどこまでもボールしか見えてないな」



「え…あの」



あたしは近くにいた間宮先生の漏らした言葉に反応してしまった。



「なんだかあーゆう一年生久しぶりに見た気がする。昔の一ノ瀬に似てる」