「げほっ、ごほっ!わたしが恋する乙女?!」
びっくりしすぎて思わず大きな声を出してしまった。
すると斜め前から冷たい視線が刺さって、その方向を見ると相ケ瀬くんがまるで「うるせー」と言うかのようににらんできた。
相ケ瀬くんの周りにはサッカー部の男の子たちがいた。
あたしだってびっくりしたんだもん!しょうがないじゃん!
とは言えないけど、心の中でそう言ってまたあやの方に向きなおした。
「今誰見てたの?」
「いや、特に誰も見てないよ?」
「うーそ!方向的には王子の方だよね?
もしかして王子のこと……」
「もうやめてっ!」
あたしは急いであやの口を両手でふさいだ。

