「面切り落とし面でもよかってんけど、刀と竹刀じゃ、こっちに部が悪いやん。
もしもってこともあるからな」



「あんた、翡翠といったな……」



芹沢さんの顔がひきつっている。



「翡翠信太や。あんたみたいな酔っ払い相手に負けてたまるか。
昼間から男の腕の中で、酒浴びて腰振ってる間があんのやったら稽古でもしいや」



「……翡翠」



「あんたなんか、俺は筆頭局長って認めへん。
味噌汁で顔洗って出直してきーや」



地面に座り込み、俺を見上げ睨みつけている芹沢さんの顔。



俺にはただの酔っ払いにしか見えへんかったし、とても女には思えへんかった。


芹沢さんの後ろに隠れた優男と芹沢さんが、悔し紛れに高笑いする声を聞きながら、部屋へと急ぐ。