新撰組異聞―鼻血ラプソディ

俺は、それを片手で受け取って思わず、その重さに、もう一方の手を添える。



――これが真刀の重さ


「扱えるように指導はするから。ちゃんと竹刀も持って行きなさい」



「はい」



素直に返事をしたものの、こんな重いものが、まともに扱えるようになるん?


で、これを振るっていうんは人を斬るってことなんちゃう!?


竹刀なら斬っても斬られても死なんやん。


朝、斎藤さんとそういう話をしたばっかりやのに……。


昨日、俺は沖田さんと笑って、チャンバラしたばっかりやのに。



幕末という時代の現実が、俺の胸を刺す。



「翡翠くーん」


甘い声にビクつく。



沖田さんの声がする。


見廻りに行くのが、そんなに嬉しいん?っていうくらいルンルンな様子の声が近づいてくる。



おかしいやろーーっ!?
見廻りやで、み·ま·わ·り!

不逞浪士を取り締まりに行くんちゃうん?