新撰組異聞―鼻血ラプソディ

翡翠の端整な顔立ちに、隊士達がざわめく。

大勢の隊士達の姿と歓声に、翡翠の表情が固まる。


外した手拭いと竹刀を硬く握りしめ、翡翠の瞳が怯えに変わり、体が震え出す。


「構えて」


山南が交差する翡翠の竹刀と沖田の竹刀に、手をかける。


「翡翠……くん」


翡翠の心臓が早鐘を打つ。
頭の中も真っ白で何も考えられない。



翡翠の震えが隊士達の目にも明らかなほど、激しくなる。


土方は大きく息を吸い込む。


「ちんたーーーっ!! 縮み上がってんじゃねぇーっ。
ちんたーーーっ!!
玉ーあ、すえろーーーっ!! 男だろ!!」



土方は大声で叫ぶ。


カ――ッと翡翠の頭に血が上る。



「ちんたじゃねぇー!! 信太だ!!
玉やないー、肝やろーー!!
ボケかましてんじゃねぇ!!」



翡翠は思い切り叫ぶ。