新撰組異聞―鼻血ラプソディ

「稽古を見たい!?」


土方と沖田がどちらともなく、翡翠の言葉を繰り返す。



翡翠は目隠しをしている。

聞きたいなら話はわかる。

だが………見たいと確かに聞こえた。



「目が見えてたら、色んなもんが見えて集中できへん。

剣道は、足の動きにも色々ある。

技も……1つ1つ音が違うし、リズムも違う。

摺る音、蹴る音、踏み込む音。

上段、中段(正眼)、下段から攻める風音は違うはずやし、相手の気も違うはずや」



――音を感じて気配で……心眼で見る!?


「黙って座ってるだけでええ、混乱してる頭を冷やしたいねん。
雑念が沸かんように……試合だけに集中できるように」



鼻血はまだ止まっていない。

鼻を押さえた手拭いには、まだ赤く鮮血が滲む。


翡翠は手拭いで鼻を拭き、すくっと立ち上がる。



「竹刀を取ってもらえまへんか」