「翡翠くんのこと………」


いや、聞きたない。
この逞しい腕、お願いやから離して


あ………この生温い感覚は、ヤバい、またヤバい


「好き……です」



勢いよく、鼻血が噴き出した。


ぶぉーーーっ


と、壊れた水道の蛇口を捻ったら出た、みたいな勢いで……。



あ!! あかんっ、くらくらする。



女傑の顔が、いっぱい見える。
ドッペルゲンガーや。



「kyayaoaaaGOOAAーーっ」


ゴジラのような女傑の雄叫びが耳をつんざく。

意識が遠退いていく。

ドンッと、強い体当たりのような衝撃を受けて、体が後ろのめりに沈んでいく。


「翡翠!!」


副部長の声が遠くに聞こえる。



何か気持ちいい
ふわふわしてへん!?


そう思った刹那、真っ暗になった。


音も匂いもしない。
静まりかえった空間を漂う、――夢を視ていた。