すぐにジャスがあたしに気づき、大きく手を振ってきた。

「未礼ちゃーーん!」


「しーッ(ホテルで大声出さないの)」って口の前で人差し指立てながら駆け寄ると、人目もはばからずジャスが抱きついてきた。

「ありがとう未礼ちゃん!!助かったぁ~!」


「分かったから、ちょっと静かにして」

マダムに一礼して、ジャスに資料を渡した。


「じゃあ、よろしく」

これで用は終わり。

帰ろうと出口の方に身体を向けたら、ガシッとジャスに腕を捕まれた。

「何?」


「帰んないでよ!!」

泣きそうな顔で、あたしの手をつかんで離さない。

「って言われても…」