予備のスーツをいつもロッカーに入れてたから。それに着替えて、下ろしていた髪を手早くまとめる。


「タクシー呼んでるから!本当ありがとう!よろしくね」

「はい」

八暮丹さんから、手渡された資料を手にタクシーに乗り込んだ。


本当は乗り気じゃない。

でも、行きたくないけど、あたしが行かなかったら八暮丹さんが行くことになったかもしれないし…。

妊婦さんを無理させる訳にはいかない。


それに、この資料は、あたしが必死で作り上げたものだから。


約30分後、パーティー会場であるプラムホテルに到着した。


ホテルのロビーに走る。

ロビーのソファーに座るマダムと、その側に所在無げにそわそわ立っているジャスが見えた。