我妻教育2

「今更だけどさ、確かにあのビーフシチュー、マダムっぽくないレシピだったかも。

味見したけど、すげぇ美味しかったよ。

未礼ちゃん才能あるんだからさ、もっとすごいレシピ作ってマダムをビビらしてやんなよ」


もう一度あたしの肩に手を置き、ジャスはマダムを追って出て行った。

安治斉さんも続けてマダムの後を追う。



――あまりに軽い。

全うな意見だとも思う。

だけど、他のレシピだったら、ここまで傷ついたりしないのに。


大切な実母との思い出まで、軽く見られた気になった。


バタンと玄関扉が閉まる音が、しんと静まった室内に響いた。