我妻教育2

やむにやまれぬ事情があって、あたしのレシピを使用してしまった。そう言って心から本気で詫びてくれたら…。

少しだけ、持っていた淡い期待は打ち砕かれた。

身体から力が抜けるくらい、余計にショックが増す。


「さあ、まだ今日の仕事が残っているでしょう。取材だったわね。もう出発するわよ」

マダムは勝手に話を切り上げて立ち上がり、自分のバッグを肩に掛ける。


でも、あたしだって引き下がれない。

「そんな!待って下さい!偶然のはずないです!」


「私は知らないって言ってるでしょう?そんなに言うなら証拠をお見せなさい」