我妻教育2

ソファーに腰かけたマダムは、落ち着きなく組んだ足を組み換えた。

苛立ちを鎮めるためか、焦りを隠すためか、わからないけど。

マダムは、しかめた表情であたしの顔を見上げた。

あたしもマダムをじっと見返す。


マダムは「ふう」と不愉快げにため息をつき、

「何を馬鹿なことを。言いがかりはよしてちょうだい。急に思いついたの。変更なんていつものことじゃない。

偶然でしょ?ビーフシチューなんて、似たようなレシピは山ほどあるわ」

両手のひらを上に向けて、とぼけた調子で首をかしげた。