我妻教育2

「あ、優留ちゃん、待って、お金…」

わたわたと荷物とコートをつかんで、財布片手に追いかける。


「じゃあな、色々大変そうだけどお嬢ちゃんも頑張んな!じゃあまた!」

お金、受け取ってくれないまま、優留ちゃんは店を出てちょうどすぐ来たタクシーに乗り込んで行ってしまった。

早…。あっという間。

財布を握りしめたままあたしは一人置いていかれた。


また。って言ってたから、いっか。

いつかまた会ったら今度はあたしが奢ろう。

自分を納得させて、コートを羽織り、駅に向かう。


気持ちは重いまま。


自分のことではなく、啓志郎くんのことを考えてた。


順風満帆なんだと思っていた。