しばらくして、安治斉さんが合流した。
入れ替わりであたしは退散。
きらびやかで騒がしいグランドバンケットルームの重い扉が閉まったとたん、ドッと疲れが出た。
終始マダムとは話をするどころか、目も合わせることもなく、ただ気まずい思いをしただけだった。
そそくさとクロークで受け取ったコートを羽織り、エントランスへ。
自動ドアが開き、冷たい風が肌に吹きつける。
「寒っ」
ストールは忘れてきた。事務所に。
結局、荷物も全部置きっぱなしだし。
もう一度、事務所に戻らないと…。
コートの襟元を押さえて、身を縮めて一歩外へ踏み出したとき、
「未礼!」
入れ替わりであたしは退散。
きらびやかで騒がしいグランドバンケットルームの重い扉が閉まったとたん、ドッと疲れが出た。
終始マダムとは話をするどころか、目も合わせることもなく、ただ気まずい思いをしただけだった。
そそくさとクロークで受け取ったコートを羽織り、エントランスへ。
自動ドアが開き、冷たい風が肌に吹きつける。
「寒っ」
ストールは忘れてきた。事務所に。
結局、荷物も全部置きっぱなしだし。
もう一度、事務所に戻らないと…。
コートの襟元を押さえて、身を縮めて一歩外へ踏み出したとき、
「未礼!」

