「東城さん」
「ん??」
「これ、東城さんに、あげる」
一之瀬くんは私にサッカーボールのキーホルダーを差し出した。
「え?でも…」
「僕ね、正直ずっと女子にキモがられてた。地味だし
何もできないし。男友達はなりにいるんだけど、親友は
なにしろあの裕斗だし…。それで近づいてくる女子もいたんだ。
でも東城さんは違った。廊下でぶつかった時
態度も変えずに話してくれて。すごく嬉しくて……。
そのまぁ記念かな?」
少し顔が赤くなる一之瀬くん。
そんなことあったんだ…。
「ううん!私も男の子苦手だったし…
でもね、一之瀬は苦手じゃないよ!」
「ほんと!?これからも、よろしくね?」
「もちろん!」
「送ってくよ!」
「ありがと…!」
一之瀬くん。ありがとう。
その日の夜、なぜかドキドキして寝られなかった私。
お気に入りのTaylor Swiftを聴いてなんとか眠りについた。
