「なんで嘘ついたんだよ?!」
怒鳴るのは、私のせい?

「後ろめたい気持ちがあって、だめだってわかってたからだろ?!」
犯罪者を見るような目で私を見るのは、私が悪いから?

「黙ってねーでなんか言えよ!!」
見たこともない真剣に血走った彼の目は、私を捉えて離さなかった。
同時に彼の震える両手も、私の肩をがっしり掴んで離さなかった。

…ーーーーーーー

「ごめん。行かないで…」

「ッッーーーーー…」
泣きじゃくる私の唇にそっと触れた彼もまた、初めて見る涙を流していたーーー


初めての貴方の涙と初めての悲しい口付けに、もう何も言葉が出なかった。