お財布とー、服と、充電器と、あれ用のやつも入れとくか…

ポタポタと出てくる血を赤いハンカチで押さえながら支度をする。

なんで今日に限って弟はバイトなんだろう。弟がいたらきっと止めてくれていたのに。

でも明日が休日でよかったと少し安心した。学校ないから家に帰らなくてもどうにかなる。

さ、出るか。

お母さんはまた寝ていた。

血のついたバットを持ったまま。


自分の頭を触るとものすごく痛いけど血は止まっていた。

そしてフードをかぶってあたしは家を出た。

どこに行こうか。

知春の家?

美咲の家?

それとも公園で野宿?

どうしよう。

どうにかなるとは思っていたけど財布に入っているお金は2000円しかなかった。

きっとお母さんに取られたんだ。

ため息をついて塾の近くにあるアパートの前の塀に座った。

ここで一晩過ごそう。

時計を見ると12:35でもう誰も人は通っていなかった。