先生の車に乗ったとき、あたしの頭は自分が思っていたよりも浅い傷だということがわかった。
フードをはずしてもばれなかったもんね。
『着いたよ。立てる?』
『はい。』
こんな可愛い人なのに彼氏がいないみたい。あたしったらてっきり彼氏と同居でもしているのかと思ってた。
整えられた部屋。
いい香りがする。
『愛ちゃん。お風呂入ろうか。』
『えっ?』
びっくりして聞き返してしまった。
『お風呂だよ。一緒に入る?』
『え…恥ずかしいです。』
『嫌なの??』
『いえ…そんなことは…』
どうしよう。アザとか見られちゃう。
まずいよね。
『嘘よ。冗談。先お風呂入っていいよ。
下着と服はあたしのだけど貸してあげるから。』
『あの…!やっぱり一緒に入ってください。1人は怖くて…』
『えっ?』
あたしと先生の声が重なった。
自分で言ったにも関わらずびっくりしちゃった。なんてことを言ってしまったんだろう。
こんなのセクハラじゃんか!
しかもあたしそんな弱くないのに!
何言ってんだよ、この口は!
口を軽くつねるあたし。
『いいわよ。しょうがないなあ。初対面で家連れてきてお風呂って笑えるわね。』
先生も驚いていたはずなのに断らなかったのが不思議でたまらない。