はあ、惨めだな。
不思議なことに心は大丈夫みたい。
さすが嘘つきの天才。
あたし、自分にも嘘をつくのが得意みたい。

深くかぶっていたフードをはずして空を見上げるとでっかーい月が見えた。

満月だ。

それをみた途端になんだか苦しくなって気がついたときには涙がこぼれていた。

『助けて。』

心の奥底で思っていたことが口に出てしまったみたい。

でもあたしは知っている。
こんな嘘つきのあたしを助けてくれる人など誰もいないことを。

せめて自分に素直だったら友達とかに助けを求められたのかもしれない。

だけどそんなことはできない。
このアザと頭のケガを見られたら引かれるだけだろう。

もういいや。こんなこと。

『おやすみ。お月さま。神様。』
と言って私は眠りに落ちた。