私は○✗村という田舎町に育った女子高生。地元にもちろん高校はなくて、もはや中学校も隣町まで通っていた。村の人たちが一人じゃ危ないからって一緒に行くように言われた村唯一の同い年 佐々木トワ。トワを好きになったきっかけは5歳の時だった。

12年前

幼稚園が近くになかった私達2人は自治会長の奥さんにお世話になっていた。平仮名ワークとか、他所の幼稚園児から遅れを取らないように学ばされたものだ。


「また、トワくん!文字は左から書くものよ。右から書いたら反対言葉になるじゃない」


奥さんが手を焼いていたのは、私と同い年の子供 佐々木トワだった。やんちゃで勉強は嫌い。電柱やらコンクリートに落書きして町内会で問題視されるほどの男の子。


帰り道。
家が同じ3丁目ということもあって、一緒に帰ることが定番。

「トワくん。また、怒られてたね。」

「おう!」

「それにいつも鼻に絆創膏つけてるけどなんで?」

「かっこいいから!」

トワはいつもニコニコして、幸せそうな顔をしている。きっと頭の中は楽しいことでいっぱいなんだろうなと思ってしまう。