「ヨウコソ、“ゲームスタジアム”ヘ。コレカラ命懸ケノ“ババ抜き”ヲシテモライマス...」

どこからともなく現れたスクリーンに更なる指令が出された。
そしてその指令には、過酷なゲームの幕開けを意味する赤く赤く染まった文字が写し出された。

「...何、“ババ抜き”?」
「ババ抜き...?」

キャバ嬢がすっかり疲れた様子でスクリーンに聞き返した。
キャバ嬢だけではなく、他の人達も首をかしげたり、怯えたような目で辺りを見渡していたり、色々だ。

その中でアヤは、まじまじとスクリーンを睨んでいた1人に入る。
どうしてこんなゲームに.......?

スクリーンの画面がいきなり砂嵐に変わり、砂嵐が終わると同時に新たな文字が写し出された。

「コノスタジアムノ中央ニ、オオキナテーブルガアリマス。ソコニムカッテクダサイ...」

スクリーンには、この“スタジアム”と呼ばれる場所の地図が写し出されていた。

アヤは、地図をまたまじまじと睨んでからため息をついて、目の前の紅い扉に手をかけた。
怖くないと言ったら、嘘になってしまうだろう。
でも、もうこのゲームに逆らえる方法は無いのだ。

ギギギィィィイ――

不気味な音をたてながら開いた扉は、そうとう古いようだ。
1人で開けるには少し重かったが、どうにか、全て開け放つことが出来た。

「ねぇあんたよくそんな指示に従えるね?」

キャバ嬢の声を無視して、アヤは扉の奥を見やった。
そこには、大きな大きな円形のテーブルがあった。


私達は、あらがいようのない指令に従って中心に向かって歩き出した。