「でもね、だんだん見ているだけじゃ足りなくなる。
もっと近づきたいって、思っちゃうんだよね」
あたしが今、斗馬先輩に何を望んでいるかが分かったかのように、夏菜が笑顔をあたしに向ける。
頑張れって言われたみたいな気持ちになる。
あたしも笑い返す。
斗馬先輩にボールが渡った。
すぅっ。
「斗馬先輩!負けないでっ!!」
ダンダンッ。
スリーポイントシュート!!
サクッ。
ピーー!!
「「わぁぁあ!!」」
一斉に盛り上がった会場。
「…勝っ…た…」
最後の斗馬先輩…最高にかっこよかった。
「あーあ、耕助先輩っち、負けちゃったなぁ」
「夏菜。あたし、斗馬先輩が好き。
慎矢先輩は、あたしの憧れの人だって分かった」

