「でもさ、なんで好きになったの?」



夏菜とこんな恋バナができる運命になるとは思いもしなかったよ。


夏菜は恋愛とか興味ないと思ってたから、ちょっと嬉しい。


「この前ね…購買行ったとき、20円足りなくて1個パンやめようと思ってたんだ。でも、耕助先輩が20円くれたの。それで次の日返しに行ったら、20円くらいいいよって言ってくれて…。そのときの笑顔がずっと忘れられないっていうか…」



笑顔が忘れられない、かぁ…。

『本気で上手くなりたいって思ったからね』


その気持ち分かるなぁ…。




「20円足りないとか、ださぁ」

「ちょっと、突っ込みどころそこ!?」

「ははっ。うそうそ。よかったじゃん、気になる人ができて!」

「うん…///」

「あれ、でも耕助先輩って…」

「好きな人いるんだよね…」


そ…だよね…。


「でも、夏菜が諦める必要ないよ?」

「うん。ありがとう。…てか、まだ好きって決まったわけじゃないからね!?」


もー、そんなこと言っちゃって。

「はいはい」


『気になってる』と『好き』なんてほぼ一緒じゃんっ。