先輩。


【斗馬side】


「あ、悪い斗馬。外の棚からビニール2、3枚出してくんない?」

「はい」


ガラ。

ビニール…ここかな。
ガサガサ…。

あ、あったあった。

3枚でいっか。


ビニールを持って、中に入ろうとしたとき…。



「斗馬んとこ行かないでよ…。俺のそばにいて」

「あたしは…どこにも行きませんよ…」

「あみ…」

「…んっ」



おいおい、窓空いてるから筒抜けだって…。

……入りにくい。
これは、入っちゃいけないパターンだよな…。



つかなになに、あの2人できてたわけ?!
慎矢先輩めっちゃ甘い声だし…。

やべー、一希になんて言おう。



「あみの…全部が欲しい」


ガラッ。

「先輩、コレでいいですかね?」

「おー、いいよ。さんきゅー」

「いえ」


すげー、何事もなかったかのように…。

ってか俺、邪魔した…よな…。
そんなつもりなかったのに…。


慎矢先輩のあの言葉を聞いた瞬間に、手が勝手にドアを開けていた。



まるで、邪魔したかったかのように。