「はっ…はぁっ…はぁっ…」


自分の叫び声でハッと目を開けると目前には真っ黒な天井、横を見ると同じく真っ黒な壁、真っ黒な家具。

微かに灯る小さな灯り。


「ゆ、め……

チッ…

なんで、今更…」


先程のことはすべて夢だったようだ。


しかしあそこで目覚めていなければ今頃部屋の中は無惨な状態だっただろう。


「間一髪…ってか…?はっ、ふざけてる…」


嗤いながらそう吐き捨て、携帯を見ると時刻は9時ちょうど。


転入初日だってのに…。

これじゃ遅刻だな…。


「だる…」


起き上がるのさえも億劫だが仕方なく真っ黒なベッドから出る。


先程の夢のせいで汗をかき、着ていたものが身体に張り付いている。


それに眉をしかめながら部屋着として着ている和服を脱ぎ捨てて裸のまま風呂場まで歩いていく。


ザーッと顔に容赦なく当たってくるシャワー。


目を閉じ顔を背けることなくシャワーに当たる。


編入試験のときは黒髪のウィッグを被り、前髪はピンで留め、おさげにして規定の制服を着、大きめの伊達眼鏡と黒色のカラコンで行った。


転入したら不良のようなまったくの別人、というわけにはいかないか…。