「あー席は盤条が窓際の一番後ろ、岼埜が廊下側の一番後ろな。岼埜、頑張れよ」


クラスの声を遮るようにそう言った担任はまたもや最後だけ小さくあたしの耳元で呟いて教室を出ていった。


…あの教師はロリコンなのか?


席に座りながら疑いの目を扉の方に向けていると

「ねーねー岼埜ちゃ~ん」

と隣のいかにも軽そうな男が話しかけてきた。


左耳に3つ、右耳に4つピアスをつけネックレスは3連づけ、ブレスレットもパワーストーンやらなんやらをじゃらじゃらとつけている。


下品すぎる…。


「な、なんですか…?」


引き気味に言うと男は笑い出した。


「か~わい~超怯えてる~」


…おまえの目は節穴か?節穴なのか?


今あたしは完全に引いた顔をしていただろうが。


「優等生って感じだね~」


クスクス笑いながら髪を触ってくる男に鳥肌が立つ。


ヤバいキモいこいつなんなんだ。


「や、やめて下さいっ…!」


パシッと手を払ってやると男は少し驚いた顔でこちらを見てまたあの気持ち悪い笑顔で近づいてきた。


「ねぇ、優等生なんだから大人しくしてなよ?」


笑いながらも言っていることは相当ふざけている。


優等生だからってこんな状況で大人しくする馬鹿がいるかよ。


「や、やめてってば…!」


尚も触ろうとする男を軽く突き飛ばし、離れた隙に鞄を持ち走って教室から出る。


暫くして空き教室を見つけたのでそこに素早く身を滑り込ませる。


「はぁー…さっさとどっか行かねぇかな…」


先程の男とその仲間たちが追ってきているのがわかっていたので気づかれないよう空き教室に入ったわけだが。