そのとき、中学のことを思い出しそうになった。

だめだめ。

私はきゅっと下唇を噛んだ。


「あ、杉原さん。ダメだよ」

そう言って彼は私の頬に触れた。


「そんな風に唇噛んだら、血が出ちゃう...ね?」


彼はいたずらっぽくニコッと笑った。
いつもならぞくっとする。

なのに...私の体はどくんっと熱を持った。


なに...これ...


「やめてっ...触らないで...」

「あっ、杉原さんっ!」


私は思わず教室を飛び出した。


だってだって私変だよ。


まだ男の人怖いのに。
恋愛なんて恐怖でしかないのに。



こんなの恋してるみたいじゃん...