これは恋ですか

「危ないっ!」

桐本くんの声が聞こえる。
駆け寄ってきてる。

え、助けようとしてる?

やめてやめて。


私は体の軸を切り替えて軌道をずらす。
実は、運動神経はいいのだ。


そして、体を真っ直ぐにして綺麗に着地した。

「え...」

桐本くんは唖然。

周りも驚いた目で私を見ている。


「私小さい頃、新体操やってたんです。
こういうの慣れてるんで。」

自慢ではないけど体育はいつも5。
体力テストはいつもA。

男に頼らないために鍛えたのだ。


「...すごいね!杉原さん!
俺、助けようとしてたんだけど...いらなかったか!
じゃあ、またね!」

“またね”


ふと、中学時代の頃とリンクした。



やめてほしい。
思い出したくない。



帰ろう。