泡影の姫

「悪いね。態度、なってないよね。嫌わないでやって。悪い子じゃないの」

「あなたは?」

湊の一体何?

最後まで言葉をつむげなかった私の質問を正確に拾ったらしい彼女は肩をすくめて曖昧に微笑んだ。

「湊の姉かな?あいつ急に飛び出して行っちゃって」

何で、この人はこんなに泣きそうな顔をしているんだろう?

「私は、湊に嫌われちゃったのかな?」

まるで、捨てられるのを恐れているみたいだ。

「君は湊の……友達?」

控えめにそう聞いた言葉は、どこか私を牽制しているような響きをはらんでいた。
私はなんと答えればいいのか分からず言葉につまる。
私は湊のなんでもない。
私が一方的に彼を探していただけで、私たちの間に特別な呼び名など存在しないだろう。先ほどまで、私は彼に自分の名前すら伝えていなかった。
そしてまた、彼を見失った。