泡影の姫

私一人じゃなかった。
みんな水泳という種目に魅せられている。
共通点は、一つでいい。それだけで、一緒にいられるから。
きっと、今だったらもっと有意義に学校生活を送れるのだろう。それはもう叶わないけれど。

「辞めないでください」

後ろから、相葉の声がした。

「泳ぐの、辞めないでください!」

そんなの、答えなんて始めから決まっていた。

「当たり前でしょ?転科しようが、足が折れようが、そんなの関係ないくらいに私はただ水泳が大好きなんだから」

相葉が笑う。
いつもの笑顔だ。彼女は人にとても気を使う子だった。いままで横目でしか見ていなかったけれど、急に視界が開けたようにすべてを思い出した。
イライラした気持ちがスーっと自分の中で引いていく。
そうしたら急に湊に会いたくなって、探さなきゃいけないなっと改めて思った。