「私は嫌いじゃなかったよ。相葉さんの泳ぎ方は、冷静で、綺麗だと思う。飛び込むとき、一瞬ためらう癖があるでしょ?あれはいただけない。もう少しだけ思い切り飛び込めたら、タイムだってもっと縮まる」
この子の名前は、相葉蛍だったと、急に思い出した。
名前も顔も思い出せなくても、彼女のフォームと癖はすぐに頭に浮かんだ。
薄情なものだ。
けれどとても私らしい。
「香坂、さん?」
私はもう一度深呼吸をして、何とか笑顔を作ってみる。
「ごめんね、ちょっとだけ、虫の居所が悪かっただけだから」
水泳は個人種目で、だから一人で戦っていたつもりだった。
でもそうじゃない。
サポートしてくれるマネージャーに、指導してくれるコーチ、切磋琢磨しあえるライバルたち。
一人じゃ何一つ満足にできない。
そして相葉も紛れもなく私の仲間だったのだ。
腕を放してもまだ床に座り込んでいる相葉を起こす。まだぽかんとしている相葉を残して、私は家路を辿る。
この子も、ただどうしようもない程に水泳中毒なのだ。
どうして、スポーツ科にいるときに気付けなかったのか。
失ってから気づくなんて、私はどこまでも鈍感だ。
この子の名前は、相葉蛍だったと、急に思い出した。
名前も顔も思い出せなくても、彼女のフォームと癖はすぐに頭に浮かんだ。
薄情なものだ。
けれどとても私らしい。
「香坂、さん?」
私はもう一度深呼吸をして、何とか笑顔を作ってみる。
「ごめんね、ちょっとだけ、虫の居所が悪かっただけだから」
水泳は個人種目で、だから一人で戦っていたつもりだった。
でもそうじゃない。
サポートしてくれるマネージャーに、指導してくれるコーチ、切磋琢磨しあえるライバルたち。
一人じゃ何一つ満足にできない。
そして相葉も紛れもなく私の仲間だったのだ。
腕を放してもまだ床に座り込んでいる相葉を起こす。まだぽかんとしている相葉を残して、私は家路を辿る。
この子も、ただどうしようもない程に水泳中毒なのだ。
どうして、スポーツ科にいるときに気付けなかったのか。
失ってから気づくなんて、私はどこまでも鈍感だ。



