泡影の姫

「なんで殴られたの?」

少し戸惑って、それでも私は湊に尋ねた。

「彩愛の結婚式、行かねぇって言ったら殴られた。まぁ、予想してたからいいんだけど」

なんてことない、っていう風に湊はそう言ったけど、私はその言葉を簡単に流せなくて黙る。

沈黙が、重い。
殴られることが分かっていても、湊はその選択を選んだんだと思ったら私は泣きたくなる。

彩愛さんを祝えない湊の気持ちが、

痛くて。

悲しくて。

「瑞希も、結婚式ぐらい出てやれよって思うか?」

すぐ隣から降ってくる湊の声は、優しくて、泣きそうだった。

「い、え…ない」

歌も。

ギターも。

悲しいとか。

愛しいとか。

そんな感情も。

今の湊を作っている全ては、彩愛さんの影響を少なからず受けている。