泡影の姫

「おまたせ、しましたっ!」

十分に髪を乾かさず出てきた私を見て、湊は苦笑する。

「風邪ひくぞ?」

「夏だから、平気っ。すぐ、乾くよ」

そう言った瞬間立て続けにくしゃみをする私。
なんて説得力に欠けるんだろうって、我ながら呆れてしまう。

まだ日中は夏の暑さが残っているけれど、それでも夕方の風は冷たくなってきた。
季節は確実に夏から秋に移ろうとしている。
その証拠に日が暮れるのが早くなってきた。

「晴れてよかったね。きっと花火がきれいに見える」

「そうだな。花火大会とか、久しぶりだ」

夏の終わりを締めくくるような最後の花火大会。

ちらほらと浴衣姿の人が見え、街はいつもより多くの人間を飽和している。
どことなくみんな楽しそうで、はしゃぐその姿は子供のそれと変わらない。