泡影の姫

エアコンの効いた部屋は夏なのに少し寒いくらいだった。
羽織ものを持ってこなかったことを少し後悔する。

昼食時を過ぎたファミレスは結構空いていて、居座りやすそうだ。
ちらほら勉強する学生の姿も見える。
そんなふうに店内を観察しながら、ドリンクバーで飲み物を注ぐ。

何にしようか迷って、結局メロンソーダをチョイスする。
相変わらず不健康そうな着色料いっぱいの色をしている。
だけど、私はこの色が嫌いじゃない。

とりあえず喉の渇きを潤してみるが、思っていた以上にのどが渇いていたらしい。
すぐに2杯目を注ぎに行く。
それを半分ほど飲み干して、ようやく渇きを満たして満足する。

「……それで、話って?」

私が落ち着いた頃を見計らって彩愛さんがそう切り出した。

私が呼び出したのだから、その問いは当然なんだけど、私は時間稼ぎのように無駄にジュースの氷をつつく。
あの日の彩愛さんみたいだ、なんて考えたらちょっとおかしくなる。

実際、私の中で彩愛さんに伝えたい内容なんて何一つまとまっていなかった。

何を言えばいいのかも。

何を聞けばいいのかも。

何一つ具体的に決めてない、空っぽの状態で私は今彼女と向かい合って座っている。

「ええっと、瑞希ちゃん?」

沈黙に耐えられなかったように、彩愛さんは先を促す。