家に入って、


ごろんと横になる。


先輩、


後悔しないです、私。


先輩と付き合ったことも、


その間にあったことも。


だってもしかしたら先輩を好きになってなかったら…


私はホントの恋を知らないままだったかもしれないから。


そうしたら私…



きっと空汰への気持ちにも気が付けなかったと思うから…。


「…もうおしまい、」



パソコンを開いてメール画面を開く。


宛先に【れい先輩】の文字。


【削除】。


そして今までの先輩のメールも削除。


いつまでもあったら、またいろいろ考えちゃうかもしれないしね…。



「…空汰、」


いつからこの人を?って思うと答えられないかもしれない。


“気が付いたら”好きになっていたから。


でもその空汰が私のことを好きになってくれた。


好きな人が本当に自分を好きになってくれるって、こんなに良い事なんだね。



≪受信箱 1通≫


「なんだろ?」


カチッ


「…え…」


香織からだった。


≪実はね、亜華里が先輩と付き合う前に…私も脱いでとか言われてたの…。
隠しててごめんね≫



…そっか。


誰でも良かったんですね。


でも、


もう私は恨んだりしない。だって今は…


そんなことより大切な人がいるから。


ついさっき、空汰に言われたことを思い出す。


良かった。空汰を好きになれて。



私――――もう好きじゃ表せないよ?(笑)





私の前置きの長い本当の恋物語は、


今からやっと開幕するのでした。



――――――『意外と、意外とな…?
マジで俺、亜華里のこと好きだから。だから…悩んだりしないでくれ。泣くなら一人じゃなくて俺の中で泣いて?
…ずっとずっと傍にいるから、さ』