「れ、怜先輩!?」


汗だくで息を切らしている。


何か急いでるような感じで近寄ってきた。


「つ…ついて来て…!良いから、聞く前に…っ」


「は、はい!」


花先輩と着いていく。


一体何が?


怜先輩の背中は汗で濡れていた。


早歩きで私達を連れていく。



「あ、来た!」


先生がいた。


そして陰で休んでいる優先輩。


「あの…何が…」


「優が熱を出したんだよ…」


と先生。


「先生、言わなくて良いですってば…」


強がる優先輩。


迷惑をかけたくないのか胸元でピースサインを作り笑う。


でも顔には汗が滴っている。


怜先輩は…このために…


「早めに引き返そうかなと思ってね」


「そうですか…。」


少し寂しいけど、


今はそんな事言ってられない。


優先輩が悪化する前に、帰らないと。


「俺、トイレ行ってくる」


汗をタオルで拭きながらトイレに行く先輩。


「ああいうところ、優しいよねぇ」


「そうですね…」


先生の言葉に頷いて…


ハッとする。


「あ、あの…」


先生も優先輩も気づいてないみたい。


…良かった。


「ん、じゃあ帰ろっか」


先輩が帰ってきて、リュックを背負う。


部活での初めての遠足は、


とても短く、


とても胸がズキズキした。


あんなに必死な怜先輩を見たのは、初めてだったから。