材料3つのマジカル☆レシピ

 始業式が終わり、ばらばらと教室へ向かう。

みんな口々に二ノ宮先生の話をしている。


「二ノ宮先生、優しそうだよね~美人だし、彼氏とかいるのかなぁ~」


女子の話題はやっぱり恋愛絡みだ。と、いつもなら「やれやれ」と呆れるところなんだが…今日はそうはいかない。


普段なら絶対混ざらないこのガールズトークってやつの輪に

「そうよね~っ 気になるわよね~」

とオカマ口調で紛れ込んでしまいたいくらいには、二ノ宮先生のすべてが気になって仕方がない。

前後左右あちこちから聞こえてくる「二ノ宮先生」というワードに過敏に反応しすぎて、すっかり挙動不審だ。


「おい、な~にキョロキョロしてんだよっと」


そんな俺を見て、ポンッと肩を叩いてきたのは同じクラスの市川だった。

「いや…別に?」


市川は、視線を泳がせる俺に、疑いの目を向けている。

市川とは部活も中学も、今年からはクラスまでもが同じという…いつでもAll waysな関係だ。

ただでさえ顔を合わせてるってのに、市川ときたらメール魔で、放課後も大した用事もないくせに何かとメールまでしてくる。

いつ妙な噂を立てられたって、おかしくないくらいだ。

しかし…幸か不幸か。市川は昔からよくモテる。

坊主のくせに、よくモテる。しかもいつも希少種に。

だから俺と四六時中一緒に居ても、妙な噂が立ったことは一度もない。

だけど四六時中俺と居て、一体いつ彼女と会ってるんだ?
それが市川最大の謎である。