「校長先生、ありがとうございました。次は…」

永遠にも感じられるような校長の話の終わりを、司会進行の副校長が告げ、ようやく始業式のエンディングが見えてきた。

早く教室に帰りたい。なんたってあそこは冷房が入るし、椅子がある分かなり快適だ。

背中を伝う汗の気持ち悪さに、はやく はやくという気持ちは大きくなっていく。

「えーと、二年三組の太田先生が産休に入られましたので、今学期から三組を担当して頂く先生をご紹介します。二ノ宮先生」


体育館がざわつく。
三組は俺のクラスだ。一学期まで担任だった太田先生は、いつもぴりぴりしていて正直好きではなかった。
むしろ…嫌いだった。産休と聞いた時はラッキーだと思ったと同時に、こんな始終ぴりぴりして周りにストレスを点火してまわるような彼女に旦那が居て、尚且つ子供まで出来たとは驚きだった。


今度の先生は、どう転んだって前よりはマシだろう。あれより強敵が現れたら…今年度は灰色だ。