高校二年の9月。

長いようで短かった夏休みも終わり、俺はまた退屈な生活のスタートかと、ひどく後ろ向きな気分で登校した。


夏休みの間はよかった。
太陽からの嫌がらせみたいなギラギラした日差しを体中に浴びつつも、朝から晩まで部活三昧だった。

一学期の間それなりに使っていた脳みそも、すっかり夏季休業にして、頭の中にはどうやったら撃てるかとか、苦手なフライをどう克服するかとか野球関連の事ばかりにして。
残りわずかなスペースには攻略中のゲームのことを押し込んで、夏休みを過ごした。


バスケ部やサッカー部なんかの髪の毛のある連中は、女子と祭りに行っただの、夏休み前に告白されただのと浮かれていたけれど…
坊主の俺には縁も興味も…うらやましくだって…ない!
断じてない。


そもそも今まで気になる女子なんて現れた試しがない。

見た目がいいなぁと感じる奴は、数ヶ月もするとすぐ凶暴な本性がお目見えするし、逆におとなしくて女らしい奴は…敢えて言わないでおこう。


要するに、世の中にはどちらも兼ね備えている奴はなかなか居ないし、そんな希少種はみんな髪の毛のある男子に引き寄せられていく。
それが世の中だ。



 頭がボーッとなる蒸し暑い体育館で、始業式お決まりの校長の長話を右から左に流しながら、俺はこんなくだらない事ばかりをぼんやり考えていた。