「おいおい盗み聞きか?いい趣味してんなぁ」

「そう殺気だつな…晋助…」

「…………」

「拙者は傷の手当てをしにいっただけでござる……」

そう言う万斉の頬には絆創膏がはってあった

「それとこれを渡しにきたでござる」

バサッ

万斉が渡したもの…それは




―――――――教本

「これぁ銀時が昔、俺に預けたやつじゃあねぇか?」


桂には「捨てた」と言った

けど…10年前に高杉に預けた教本………それは、高杉を信頼してるからだった

「まだ……持っててくれたんだな…」

「俺が捨てると思うか?」

「いや……(苦笑)」

「で、万斉。コイツがどうした…?」

「吉田松陽が…………………生きていた」

「「!?!?!?!?!?!?」」

「おい!!どうゆうことだそりゃあ!!」

吉田松陽は死んだ……

あの時、首も確かに見た

二人には動揺が立ち込めていた

「あの首は偽物……だったでござる……」

「偽物…………」

「ちょ……待てよ…収集がつかねぇ……一つずつ説明しろ…」

「いいだろう……
まず、なぜ生きていたか……吉田松陽の兄弟だ……」

「兄弟…?」

「あぁ…名前は吉田松陰……松陽と違って引っ込み思案な性格だ……」

「そんな話、聞いたこと……」

「そうだろう……松陰は人が嫌いだったからな……でもその分、松陽は松陰を大切に思っていた…」

「…………」

「首が斬られる前日。松陰が来たんだ。『私のたった一人の家族を助けて下さい』と……」

「たった……一人の…」

「そして最後は、松陰の首が斬られた…」

「………………」

「それを見た松陽はすっかり気が病んでしまった……そして世間的に松陽は死んだでござる…」

「先生………」

「その情報はどこで…?」

「つんぽの情報網を嘗めるな」

「俺……先生に会いたい…」

「晋助…」

「無駄だ。あっても話にならん。廃人だ」

「っ………」

「……………」





その時銀時は一つの思い出を思いだした