狭いビルとビルの間を走る



間から 月明かりが



スポットライトのように



あたしに光を当ててくれる



その光を頼りに真っ暗闇を走った




「はぁっ…はぁっ…」




家の前まで 辿り着いた



先回りした 古谷が居た




『長谷川 大丈夫か?』




そんな 優しい言葉要らない。




「古谷 帰って… 」




『 … うん』




2時前…




ドアに近づくほど



胸騒ぎが大きくなる



ドアノブに手を掛ける。



何故か開いてるドア。



開けた瞬間 一気に生臭さに襲われる



玄関に散らばった ハイヒールと



父の 革靴。



そして あたしの顔を見て



目を見開きながら



玄関にペタンと座り込む女。




手には 血がついた包丁。




『あ、あんた…誰』




震える声で話しかけてくる




あたしから言わせてみれば



あんたが、誰よ…



しかし 居るはずの父の声がなく



静まり返ってる家の中。



息も聞こえない…



もぅ何と無くわかってる



父は 殺されたんだって



なのに 見に行くあたしは馬鹿だ



父の部屋のドアを開ける



それと同時に生臭さが襲う



顔をめった刺しにされ



胸も刺されてる。



即死だ。って思った



どうしようか。って思ったから



110番をした…