古谷智雅の自転車は
遅い。
「古谷智雅 遅い」
『 … 』
「古谷」
『どした?』
「 ー… 」
信号待ち…
あたしは 自転車から降りた。
『?長谷川??』
「ありがとう 古谷」
あたしは古谷から離れた
『は、せがわ…?』
「帰る。じゃ」
『ちょ…』
妙にざわつく心
「帰る!」
あたしは 家の方向へ走った
『乗せる!』
真横で古谷がなにか言ったけど
聞こえなかったフリをした
『長谷川!』
あたし は 裏路地へはいった
古谷をまくために。
もぅ深夜の1時を過ぎてる
古谷を帰らせなきゃ
でも 走り過ぎて
蹴られたとこが痛くなって
ズキズキして でも
嫌な予感がして
急がないといけないって思って
自分に急かされて
お腹が痛くなって
足がもつれて こけかけて
でも走った。
何の為にかわからないけど
とりあえず 走った。

