家へ向かっている車の中で、季蛍の唸り声だけが響いている。 「……季蛍?」 「……吐きそ」 「え?吐くの?」 運良く信号待ちに差しかかったので、忍ばせていたビニールを片手で広げる。 「ほら、季蛍」 「……ッ」 「……結構熱高いんじゃないのか?」 「…ッケホケホケホ ケホケホッ」 「……吐いてる?」 フリフリと首を振るところからして、吐けていないみたいだ。