「…あっつい」
驚いたように手を見つめる季蛍。
「…はい、体温計」
「計んなくていい。…病は気から」
「私には計れっていうくせに。酷い」
「……わかったよ」
「…なんか食べる?」
「食べない」
「…………高島先生が家に来てくれるって言ったけどね、断っちゃった」
「いいよ断って。……むしろ断って」
「……そう言うと思ったから」
「………」
「薬、買ってきたんだけど飲むでしょ?」
「俺さ……。今何も食べる気分じゃない」
「…食べろって言うじゃん。私には」
「……無理、マジで無理」
「じゃあ後で飲んでよ」
「わかってるって」


