私の診察室へ入って島内さんはベッドに腰掛けた。
私もその隣に。
「………えっと…蹴られたって言うのは……………背中を?」
「昨日は……脇腹から背中にかけて…ですかね」
「……信じらんない」
私にだって、似たような経験があるからこそつ辛い。
蒼だって、私がこういう経験をして、それをささえてきたことがあるからこそ……島内さんの胸の痛さを理解できるのだと思う。
「…今、ちょっとだけ見てもいい?」
「どうぞ……」
背中にはまた昨日見たのと違う、新たな赤い傷ができていた。
「……仕事、午後は休んで外科に行ったらどう?」
「………もしそれが先輩にバレたら…」
「あのね、外科に蒼が親しい人がいるの。………っていうか港くんたけど」
「………でも」
「蒼に頼んでみる。港くんに診てもらえないか…」
「……そんなこと」
「遠慮しないで…?ね。」